
国家無形遺産の韓紙匠保有者、安致用の公開行事が忠清北道槐山で開かれる。楮を手入れするところから始まり、一枚の紙が乾くまで、その間のすべての工程を来場者がそばで見守り、手で試してみることができる。桜の木の下を歩く春の行事が並ぶ季節に、木の皮と水と人の手だけで満たされる一日だ。
韓紙は伐った楮を蒸して皮をむくところから出発する。黒い外皮を削り取ると濡れた内皮が白く現れ、灰汁で煮る間、庭には木を煮る湯気と灰の匂いが低く垂れこめる。煮られた皮を棒で叩く音は鈍く規則的で、遠くからでも作業場がどのあたりかを推し量らせる。
叩いてほぐれた繊維は、トロロアオイを混ぜた水の中に均等に散る。簀(す)を握った手が水を前後に、また左右に揺すって繊維を幾重にも据えると、そこでようやく紙の形が定まる。濡れた紙を一枚ずつはがして乾かし、叩いて表面を落ち着かせる仕上げまでが一そろいの工程だ。
公開行事は国家無形遺産の保有者が自らの技量を一般に公開する行事だ。ガラスの陳列棚ではなく実際に作業する空間で行われるため、来場者は水が跳ねる距離で工程を見る。手で漉いた紙がどのような労働を経て出てくるのかを体で知ることになる、まれな機会だ。

韓紙は文化遺産の補修や記録物の復元に使われる材料でありながら、安価な機械漉きの紙と同じ売り場に置かれる商品でもある。伝承が続くには作る人が生計を維持しなければならず、そのためには紙が売れなければならない。体験プログラムが増えている事情もここにつながっている。指先の技術を観光商品として消費することと、その技術を残すこととの間の距離は、依然として縮まっていない。
日時と料金、予約方法は確定しだい案内される。槐山は清州と忠州の間の山裾に収まった郡であり、公共交通より自家用車での接近が容易な方で、作業場の庭は水を扱う場所なので濡れても構わない靴がよい。
春の行事表が花の名前でびっしり埋まる季節に、槐山の庭では木を煮る湯気が上がる。白い紙一枚の薄い厚みの中に、人の手が幾度も通り過ぎた痕跡が積み重なっている。その痕跡を目で確かめるには、結局のところ槐山まで行ってみるほかない。
行事情報
行事: 国家無形遺産 韓紙匠 公開行事
保有者: 安致用(アン・チヨン)
場所: 忠清北道槐山
内容: 楮の手入れから紙の乾燥まで全工程の実演および来場者体験
