
銅価格が過去最高値を更新した。国際価格は1トン当たり1万4533ドルまで上昇した。電線や変圧器、モーターの配線に欠かさず使われる金属が、史上最も高い値をつけた。エネルギー転換を阻むボトルネックが、技術から金属へと移った。
価格を押し上げたのは需要だ。AIデータセンターが各大陸で相次いで建設されている。老朽化した電力網を新たに敷設する工事も同じ時期に進められている。
太陽光や風力発電設備への投資も加わり、さまざまな工事が数年のうちに集中した。いずれも銅を大量に使う事業だ。
供給はそれほど速くは増えない。主要鉱山が老朽化し、短期間で生産量を引き上げるのは難しい。これに主要生産国での操業の支障が重なった。
米国の関税拡大の可能性も価格を刺激した。米国に銅の物量が集中する動きも同時に表れた。ある地域が在庫を前倒しで積み増せば、他の地域の在庫はその分減る。物量がどの地域にあるかが価格に反映される。
直近12カ月の上昇率を47%と集計した分析も出た。供給の拡大が需要の増加に追いつかない可能性があるとの見通しが続いている。

価格が上がれば、資源を持つ側の要求も変わる。アフリカと南米で資源ナショナリズムが強まっており、採掘した鉱石を現地で加工するよう義務付ける議論が広がっている。鉱石の輸出にとどまっていた以前とは異なる条件だ。加工義務が拡大すれば、多国籍企業は現地投資とサプライチェーンの多様化を同時に進めなければならない。
高くなった金属は、結局は工事費や料金として跳ね返ってくる。変電所1カ所、洋上風力発電団地1カ所の事業費が変わる。転換を急ごうとする計画ほど、金属価格に大きく左右される。
ここで誤った側を一つ選ぶのは難しい。データセンターを建設する企業、電力網を広げる政府、自国産業を育てようとする生産国は、それぞれ納得できる選択をしている。その選択が一つの金属の上で重なり、価格が跳ね上がった。
新たに採掘する量を増やす道には長い時間がかかる。一度取り出して使った銅を回収する道は、それより短い。銅は溶かして再び引き伸ばしても、電気を運ぶ性質を失わない。鉱山の外に散らばっている銅を回収の仕組みに取り込めば、供給の負担を軽くできる。
引き出しを一つ開けるだけで、使わない充電ケーブルが何本も出てくる。壊れた電源タップ、古いルーター、回らない扇風機も家々に残っている。指定ごみ袋の代わりに廃家電回収ボックスや自治体の無料回収に出せば、その中の銅は鉱山を経ずに再び電線になる。
