
BCGヘンダーソン研究所の報告書によると、従業員の47%は業務を直接処理する時間より、AIエージェントを管理し指示することに多くの時間を費やしている。AIエージェントは、人が目標を与えると複数の段階の作業を自ら続けて行うプログラムだ。自ら手を動かす時間は減り、AIに仕事をさせて結果を直す時間は増えた。
報告書は、1日の業務時間を何に使っているかを測定した。調査対象が労働者全体なのか、AIを使う従業員に限られるのかは、この数値だけでは判別しにくい。
米国の造船業労組が結んだ協約は、新しい機械が現場に入る時点に狙いを定めた。会社がAIやロボット工学を含む新技術や新しい装備、新しい工程を導入する際、実際に現場に適用する前に労組に知らせるようにした。計画を立てる段階から労組が内容を把握できるようにするという趣旨だ。
米国の労働界は、自動化によって大規模に仕事が失われる状況とともに、生産性が上がって膨らんだ利益が企業の取り分にだけ回る状況も警戒している。

ビル・ゲイツ氏は昨夏公開した文章で、AIとロボットが事務職と生産職の業務の相当部分を代替しうると書いた。技術で自動化できる仕事であっても人に任せておく「人間専用領域」を検討すべきだという主張も展開した。ゲイツ氏は、AIが約20年の調整期を経てヒューマノイドロボット、すなわち人のような姿で人のように動くロボットと結びつけば、豊かさの時代が来ると見通した。
仕事が減るという懸念は依然としてあるが、議論はAIをどのような手続きで導入し、どの業務を人の役割として守るかにまで広がった。店舗でもAIがキオスクや配膳ロボットを超え、在庫管理や客ごとのマーケティング文言の作成まで担い始めた。人が監督する仕事が増える。
報告書の数値どおりなら、従業員の47%にとっては、AIエージェントに指示し結果を直す作業が、業務を直接処理する作業より多くの時間を占める。どの業務をAIに任せ、どの業務を人が担うかは、造船労組の協約とゲイツ氏の「人間専用領域」の提案がともに扱う問題だ。
