
海から上がってきた潮の香りが夕方の空気に薄く混じる季節、麗水は相変わらず船と人でにぎわう。第10回麗水音楽祭が8月29日、この港町で幕を開ける。開幕の舞台には鄭明勲が指揮するKBS交響楽団が上がり、ピアニストのソヌ・イェグォンが共演者として加わる。
10回を数える音楽祭だ。
指揮者とオーケストラ、共演ピアニストという組み合わせはどこでも成り立つ。麗水で変わるのは、その音が置かれる背景である。防波堤にぶつかる水の音、一晩中消えない港の照明、夏の終わりの湿った風が客席の外で一緒に流れる。
麗水は長く産業と観光の都市と呼ばれてきた。製油所の煙突とケーブルカーのゴンドラが同じ空の下に掛かっており、その間を旅客船が行き来する。こうした場所にクラシック音楽祭を植える仕事は、初めから自然な選択ではなかっただろう。10年続いてきたという事実が、そのぎこちなさを少しずつ消してきた過程を代わりに語ってくれる。
地域の音楽祭が長く生き残るには、外から大きな名前を連れてくる仕事と、その名前が去った後にも残る何かを都市の中に積む仕事を一緒にしなければならない。前者はチケットを売り、後者は時間を稼ぐ。10回目の年を迎えた音楽祭なら、後者の成績表をそろそろ尋ねてみてよい。客席の半分がよそから来た人々で埋まる祭りと、地元の人が夕方の散歩がてら立ち寄る祭りは、10年後にまったく違う顔を持つ。
鄭明勲という名前は、それ自体で国内のクラシック客を動かす。ソヌ・イェグォンも同じだ。二人の演奏家がともに立つ舞台が南海の海辺で開かれるという事実は、ソウルの外でも同じ密度の演奏が可能だということを証明しようとする試みとして読める。
開幕まで2か月近く残っている。
詳細なプログラムと前売り日程は音楽祭組織委員会を通じて順次案内される。8月末の麗水は晩夏の湿気と初秋の涼しさが一日のうちに交錯するので、夕方の公演を見に行くなら上着を一枚用意したほうがよい。
イベント情報
日時: 2026年8月29日開幕
場所: 全羅南道麗水
主な出演: 鄭明勲(指揮)、KBS交響楽団、ソヌ・イェグォン(ピアノ)
