
ビル・ゲイツ氏が、AIによる雇用代替に対応する方法として「人間だけが行う仕事」をつくろうと提案した。同じ発言の中で、彼はAIまたはロボットへの課税も併せて持ち出した。8月27日に伝えられたこの提案は、AIがもたらす雇用への衝撃を警告する文脈から出たものだ。対策の形として雇用支援の代わりに税制を選んだ点が目を引く。
課税提案の名称は、伝える側によって分かれる。ある所は「トークン税」と、ある所は「ロボット税」と、また別の所は「AI・ロボット税」と記した。トークンとは、AIモデルが文字を細かく分けて処理する最小単位を指す。演算量そのものに課す税と機械設備に課す税は、課税対象も徴収方法もまったく別のものだが、税率と課税標準はどの説明にも盛り込まれなかった。
「人間専用の仕事」も概念の段階にとどまっている。どの職種を人の取り分として残すのか、法律で強制するのか勧告にとどめるのかを、ゲイツ氏は説明していない。ゲイツ氏は、多くの仕事が永久に消えるだろうとも述べた。消える規模や時期を示す数値は提示されなかった。
国内の世論は、別の側から同じ問題に触れる。京畿道民への調査では、AIによる雇用の減少を懸念するという回答が70%となった。一方、「AI基本社会」という政策概念を知っていると答えた割合は5%にとどまり、知らないという回答は90%だった。心配は広く行き渡っているのに、対応策の名前はほとんど知られていないということになる。
この隔たりをめぐって、意思疎通と広報の戦略が必要だという診断も出された。政策を設計する側と、その政策の適用を受ける側が、互いに異なる言葉を使っているという意味だ。調査期間や標本規模といった詳細は公開範囲の外にあり、数値の細かい部分は慎重に読む必要がある。
二つの知らせが出会う地点に財政がある。仕事が減れば勤労所得税と社会保険料が併せて減り、その負担は国の財政に戻ってくるという議論が同じ週に報じられた。AI課税の提案は、この穴を埋めようとする発想に近い。人が稼いで納めていた税金を、機械に代わりに納めさせようというものだ。
実行までには越えるべきものが多い。演算単位に税を課すには、何をいくつ処理したのかを国家が数えられなければならず、国境をまたぐサービスであれば、どの国が徴収するのかも定めなければならない。税が重ければ開発が他国へ移るという反論も付いて回るほかない。ゲイツ氏の提案は、こうした詳細を盛り込まないまま、議論の口火を切っただけの状態にある。
今の議論がどこへ向かうかによって、普通の会社員の次の十年が変わる。自分の給与明細から差し引かれる税金の項目が変わり、失業したときに受けられる支援の財源がどこから来るのかも変わる。京畿道民の90%が名前すら知らないと答えたその政策が、実はその明細を書き直す作業である。名前を知らせることが設計と同じくらい急いで見える理由だ。
