
釜山国際映画祭(BIFF)は今年で30周年を迎えた。過去3年間、映画祭はパンデミックの影響、内部対立、予算削減という三重苦に直面した。しかし、その過程で観客との関係を回復し、映画祭本来の価値を再定義し、再び飛躍を準備してきた。2025年のBIFFは単なる復活宣言ではなく、新しいアイデンティティを試す年である。
2022年はコロナ19パンデミック後初めて正常開催が行われた年だった。招待作品の拡大と多様なセクション運営で萎縮した雰囲気を蘇らせ、危機克服の第一歩を踏み出した。しかし翌年の2023年は最も厳しい時期だった。予算削減と内部対立、映画人たちのボイコット宣言が続き、招待作品数と上映館規模が大幅に減少し、映画祭の独立性と自律性までもが問われた。
転換点は2024年に訪れた。招待作品数は減ったが、座席占有率が84%に達し、コロナ以前の水準を回復した。OTT開幕作選定、観客投票賞新設、シャネルと共に制定した『カメリア賞』など新しい試みが観客に親しみやすい変化をもたらした。女性映画人を支援するプログラムも映画祭の価値を拡張した。規模縮小の代わりに内実を強化し、BIFFは危機を正面から突破した。
そして30周年を迎えた2025年、映画祭は再び拡張を試みている。招待作品241本を含め、合計328本が上映され、競争部門が新設されBIFF独自の権威ある賞を構築しようとする第一歩を踏み出した。アジア映画100選回顧展、コミュニティプログラム拡大、AI体験ラウンジ運営などは伝統と現代、観客と技術が交差する実験の場を提供した。
過去3年は危機と崩壊、回復の過程を経た時間だった。今年の映画祭が強調するのは『完全な復活』よりも『新しい挑戦の始まり』である。国際映画祭の地位は依然としてカンヌ・ヴェネツィア・ベルリンと大きな差があるが、アジア映画の中心というBIFFのアイデンティティは揺るぎない。何より観客との関係回復は最大の成果であり、今後の持続可能性を担保する堅固な基盤となっている。
課題と期待
釜山国際映画祭は再び歩みを始めた。しかし30周年は過去の栄光を回復したと宣言する場ではない。観客中心の内実強化、競争部門新設、国際協力拡大はすべて再飛躍のための過程である。今後の課題はこの回復の流れをどのように持続可能な構造に転換するかにかかっている。結局、観客との信頼、アジア映画交流ハブ、そしてデジタル時代の新しい映画祭モデルを構築することがBIFFの次の10年を決定するだろう。

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