
陸上森林を超え、今や海が強力な炭素吸収源として注目されている。『ブルーカーボン(Blue Carbon)』が気候危機対応の核心戦略として浮上し、世界中で海洋生態系の保全および復元プロジェクトが活気を帯びている。
ブルーカーボンは、マングローブの森、干潟(塩分を含む湿地)、海草藻場など、沿岸および海洋生態系が吸収して蓄積する炭素を意味する。
ブルーカーボンの潜在能力は想像を超える。専門家は、ブルーカーボン生態系の炭素吸収速度が陸上森林の最大50倍速いと推定している。
また、陸上生態系は炭素を主に木自体に蓄積するが、ブルーカーボン生態系は数千年にわたり炭素を土壌深くに蓄積できるため、永久的な隔離が可能であるという利点がある。
これまでブルーカーボンはその重要性にもかかわらず、国際的な炭素削減メカニズムで適切に認識されていなかった。測定および検証(MRV)方法論が標準化されていなかったからである。
しかし最近、衛星画像分析技術と海洋堆積物分析技術が進展し、状況が急変している。
昨年9月、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)はブルーカーボンを国家温室効果ガス削減目標(NDC)に正式に含めることができる新しいガイドラインを承認した。
これはブルーカーボンプロジェクトが炭素排出権取引市場に参入できる道が開かれたことを意味し、海洋生態系保全に莫大な民間資本が流入する基盤を整えた。
我が国も迅速に動いている。西南海岸の広大な干潟は世界的なブルーカーボン資源である。
海洋水産部は2030年までに干潟の干潟復元事業を通じて年間10万トンの二酸化炭素を追加で吸収する計画を発表した。
これは単に炭素吸収量を増やすだけでなく、干潟の生物多様性を向上させ、地域漁民の所得増加にも寄与する多目的プロジェクトである。
しかし課題も残っている。無分別な沿岸開発と気候変動による海面上昇はブルーカーボン生態系を脅かす最大の要因である。特に蓄積されていた炭素が再び大気中に放出される危険性も存在する。
ブルーカーボンは気候危機を解決する万能薬ではないが、自然に基づく解決策(NBS)の最も強力なツールであることは明らかである。
海を開発の対象ではなく、地球の回復力を高める貴重な資産として認識する転換が必要な時点である。
海洋生態系の健康を回復させることが、地球の温度を下げる最も確実な道である。
